情報アイランド

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簿記入門 第二回 損益計算書

前回は、資産、負債、純資産、収益、費用という五つの要素の中で、資産、負債、純資産について概観しました。今回は、最初に収益と費用の定義を述べます。

取引によって純資産が増加する原因やその金額を「収益」と言います。収益は発生した原因によって主に以下のように分けられます。

 商品売買益(t)・・・商品の売上価額から、その商品の仕入原価を差し引いた差額(「商品販売益」とも言う)

 受取手数料(t)・・・商品売買を仲介した際などに受け取る手数料

 受取家賃(t)・・・所有している建物を貸して受け取る家賃

 受取利息(t)・・・貸付金や銀行預金などから受け取る利息

これらを合わせたものが収益(総額)ですから、

 収益(t) = 商品売買益(t) + 受取手数料(t) + 受取家賃(t) + 受取利息(t)

となります。

収益とは逆に、取引によって純資産が減少する原因やその金額を「費用」と言います。費用は発生した原因によって主に以下のように分けられます。

 給料(t)・・・従業員などに支払う給与

 広告宣伝費(t)・・・新聞・テレビ・チラシなどへの広告代

 支払家賃(t)・・・店舗や事務所などとして借りた建物の賃借料

 支払地代(t)・・・店舗や事務所などの敷地の賃借料

 旅費交通費(t)・・・従業員が出張のときの電車代・バス代など

 消耗品費(t)・・・帳簿・伝票・コピー代などの事務用品代など

 雑費(t)・・・どの項目にも入らない営業諸費用

 支払利息(t)・・・借入金の利息

これらを合わせたものが費用(総額)ですから、

 費用(t) = 給料(t) + 広告宣伝費(t) + 支払家賃(t) + 支払地代(t) + 旅費交通費(t) + 消耗品費(t) + 雑費(t) + 支払利息(t)

となります。

このように、純資産が増減する原因を分類したものが、収益や費用です。

そのため、定義上、ある期間における収益総額から費用総額を差し引くと、その期間における純損益(純資産の増減)が求まることが分かります。

 純損益[t1, t2] = 収益総額[t1, t2] ? 費用総額[t1, t2]  ※[t1, t2]は任意の期間を表すものとする。

また、ある期間における収益総額や費用総額というのは、その期間に発生した収益や費用を全て足し合わせた金額です。つまり、その期間における定和分(定積分)です。

よって、

となります。

期首から期末までの収益総額から費用総額を差し引くと当期純損益が求まります。

このようにして当期純損益を求める方法を「損益法」と言います。

これは明らかに、期首から期末を区間とした定和分の考えですね。

さて、前回、貸借対照表という資産、負債、純資産によって構成される表を導入しました。これは、ある時点における企業の財政状態を示したものです。

収益、費用についても同じように、上記の式に基づいた「損益計算書」という表を作ります。この表は、ある期間(普通は一会計期間)における経営成績を示すものです。

この損益計算書と貸借対照表はセットにして覚えると良いでしょう。

損益計算書と貸借対照表の形式は似通っています。費用は左側に、収益は右側に書き入れます。また、純利益が生じた場合は左側に、純損失が生じた場合は右側に書き入れます。最後の項目の下には合計線(単線)を引いて、その下の桝目に合計額を記入します。更にその下に締切線(複線)を引きます。

 当期純損益 = 収益総額[期首, 期末] ? 費用総額[期首, 期末]

より、(純利益は正数、純損失は負数なので)、

 費用総額[期首, 期末] + 当期純利益 = 収益総額[期首, 期末]

 費用総額[期首, 期末] = 収益総額[期首, 期末] + 当期純損失

となりますので、左側の合計と右側の合計は等しくなります。

貸借対照表と損益計算書で少々異なるのは、表題の下に書き入れる情報です。貸借対照表がある時点なのに対し、損益計算書はある期間です。この点からも、損益計算書が定和分の考えに基づいているということが分かるかと思います。

あと、細かい点ですが、損益計算書の当期純利益/当期純損失は赤字で書くようです。

前回、以下のような資産、負債、純資産の増減表を作りました。

同じように、簿記では、期首から期末までの企業の取引による収益、費用、純資産の変動を見るために以下のような発生表を作ります。

増減表では6日、11日、17日、20日、22日、25日、28日、31日の8個の取引が記入されていますが、発生表では11日、17日、20日、28日、31日の5個の取引しか記入されていません。

これは、中には純資産の増減を引き起こさない取引もあるためです。以下のようにしても構わないでしょう。

更に言えば、これでは標本間隔が一定ではありませんので、「Δ = 1日」として以下のような表にした方がより数学的には厳密な感じです。

しかしながら、このような作表方法ではあまりにも冗漫になってしまうので、先の表のように値の入らない行は省略することにします。

上の発生表を基に損益計算書を作ると以下のようになります。

最後に、資産、負債、純資産、収益、費用という五つの要素の関係、また、貸借対照表と損益計算書の関係を纏めておきましょう。

個人的には、五つの要素(と取引)は「秤」を介してイメージすると良いかと思います。

何か取引が発生すると、その取引は秤に掛けられます。秤はその取引(を数量化したもの)を測定して、資産、負債、純資産に変化を与えたり、収益、費用を発生させたりします。

秤で測った時の差がそのまま収益や費用になります。

この秤の喩えで面白いのは、秤に載せることができるものは物品や債権、債務など(広い意味で)実体のあるもので、秤の傾き(差)によって発生するものは実体がないということです。

これまで見てきたように、貸借対照表は差分的な考え方、損益計算書は和分的な考え方に基づいています。

そして、貸借対照表の当期純損益(財産法により求まる当期純損益)と損益計算書の当期純損益(損益法により求まる当期純損益)は等しくなります。これらが何故等しくなるのかグラフを使って考えてみます。

まず、二次関数とその導関数の関係について考えてみます。

関数とその導関数という関係なので、下の図のように、例えば、区間[2, 3]について見ると、二次関数の下端と上端での値の差は、その導関数と下端、上端、x軸とが作る領域の面積に等しいことが分かります(高校で習ったと思いますが、水色部分の桝目を数えてみれば分かるでしょう)。

同様のことが、損益の発生と純資産の増減の間に言えます。

前述の増減表/発生表の一連の取引についてグラフを書くと以下のようになります。

期首の値と期末の値の間の差分を取るということは、期首から期末までの増減の発生を和分することと同じです。

このため、貸借対照表の当期純損益と損益計算書の当期純損益は等しくなるという訳です。

最後に、注意ですが、差分的な考え方、和分的な考え方といっても、古典力学で変位を微分すると速度になり、速度を微分すると加速度になるというのと同じように、買掛金や給料や商品売買益(このような項目を「勘定科目」と言う)を和分すると何か意味のある数量が出てくるかというと、そうでもないです(勘定科目の間に何も関係がないという訳ではなく、実は勘定科目の間にはある関係性があります。これについては次回以降解説します)。あくまでも、考え方のレベルで、差分的であったり、和分的であったりするということです。

第二回では、損益計算書という概念が登場しました。併せて、数学的な道具として定和分(定積分)概念が登場しました。

(第三回に続く...)

pizyumi
プログラミング歴19年のベテランプログラマー。業務システム全般何でも作れます。現在はWeb系の技術を勉強中。
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