学生でも社会人でも分かる!!初めてのプログラミング入門 第4回 順次
2016/12/21
目次
↑ ↑ ↑
画像を半分の大きさにリサイズするプログラム
前回の記事ではHiMacroExに用意されている様々なキーボード関連の命令について説明しました。
キーボード関連の命令を知っているだけでもある程度実用的なプログラムを書くことが可能です。
たとえば、第1回の記事で例として出した画像を半分の大きさにリサイズするプログラムもほぼキーボード関連の命令だけを使って書くことができます。
なので、今回の記事ではHiMacroExを使って作成することができる実用的なプログラムの例として画像を半分の大きさにリサイズするプログラムを書いてみることにしましょう。
さて、画像を半分の大きさにリサイズするプログラムのイメージは下のようなものでした。
- 画像を右クリックする。
- 「プログラムから開く」を選ぶ。
- 「ペイント」を選ぶ。
Ctrl
キーを押しながらW
キーを押す。- 「水平方向」に
50
と入力する。 - 「垂直方向」に
50
と入力する。 - 「OK」ボタンをクリックする。
Ctrl
キーを押しながらS
キーを押す。- 「閉じる(×)」ボタンをクリックする。
第1回の記事でも書きましたが、これを本物のプログラムにするには、これをプログラミング言語を使って書き直さなければなりません。
今はHiMacroExを使ってプログラミングを行っていますので、HiMacroEx独自のプログラミング言語を使って書き直さなければならないということになります。
それでは、上の箇条書きを1つずつ検討し、本物のプログラムに書き換えていきましょう。
画像を右クリックする
さて、まずは画像を右クリックするという部分なのですが、実は、この画像を右クリックするという操作は2つのことを同時に行っています。
実際に「エクスプローラ」(下の画像のような、パソコンに保存されているファイルを操作するための画面を「エクスプローラ」と言います。以後「エクスプローラ」という言葉は頻繁に使いますので覚えておいてください)で適当なファイルを右クリックしてみれば分かるのですが、ファイルを右クリックすると
- 右クリックしたファイルが選択状態になる。
- 右クリックしたファイルに対するメニューが表示される。
という2つのことが起こります。
当然ながら右クリックはそのままキーボード関連の命令で実現することはできませんので、キーボードによる操作に置き換えて考えなければならないのですが、キーボードによる操作の場合には上の2つを行うための操作は別々の操作となります。
1つ目の操作、つまり、ファイルを選択する操作は矢印キー(↑
キー、→
キー、↓
キー、←
キー)を使えば出来ます。
2つ目の操作、つまり、メニューを表示する操作はApplication
キーを使えば出来ます(Application
キーはあまり使わない方が多いかもしれませんが、前回見たように右Ctrl
キーの左隣にあるキーで正に右クリックメニューを開く操作のために用意されているキーです)。
しかし、1つ目の操作はプログラム化してしまうと逆に不便です。
何故なら、1つ目の操作もプログラム化してしまうと、毎回同じ画像ファイルに対してしか動かないプログラムになってしまうからです。ファイルを選択するという部分をプログラム化してしまったら、プログラムを動かしても毎回同じファイルしか選択できません(あるいは、同じ「位置」にあるファイルしか選択できません)。
たとえば、「エクスプローラ」でファイルが何も選択されていない状態から→
キー2回押せば「エクスプローラ」に表示されている3つ目のファイルを選択状態にすることができますが、この→
キー2回押すという操作をプログラム化してしまったら、プログラムを動かしても毎回3つ目のファイルが選択されてしまうということになります。
これだと基本的には特定のファイルしか操作できないプログラムが出来上がってしまいます。
なので、今回はこの部分はプログラム化しないということにしましょう。
そうすると、今回作成するプログラムというのは「エクスプローラ」の画面で既に選択されている画像ファイルに対して画像の大きさを半分にリサイズするものということになります。
これにより、特定の画像ファイルではなく任意の画像ファイルの画像の大きさをリサイズすることができるようになります。
そして、プログラムを動かす際には予めリサイズする画像ファイルを選択しておいてからプログラムを動かすということになります。
そして、プログラムを動かすと、選択されていた画像ファイルに対してプログラムに記述した操作が実行され、結果として画像の大きさが半分にリサイズされるという流れになります。
ちなみに、この、「プログラムを動かした時にどのファイルが選択されているか」というのは一種の「状態」です(「状態」が何のことだか分からない方は前々回の記事を参照してください)。これから作るプログラムはこの状態を前提として動作するものとなります。
ですから、この前提が満たされていない場合、たとえば、「エクスプローラ」の画面で画像ファイルが選択されていない場合などには、当然ながらこれから作成するプログラムは正しく動かないということに注意してください。
さて、1つ目の操作については分かりました。では、2つ目の操作についてはどうでしょうか。
2つ目の操作についてはApplication
キーを押すだけですので、これをプログラム化すると前回見たようにApplication
という命令になります。
なので、プログラムの1行目にはApplication
と記述します。
プログラム1(作成中1)
- 1
Application
Application
キーを押したことにする。
今後プログラムを提示する場合には上のような形で提示したいと思いますが、左側の数値はただ単にその行がプログラムの中で何行目かを表しているだけです。そして、右側の部分はただの説明です。
左側や右側の部分は分かりやすさのために書いているだけですので、実際にHiMacroExのテキストエリアにプログラムを書く時には真ん中の部分のみを書くようにしてください。
つまり、実際には下のように書いていきます。
「プログラムから開く」を選ぶ
次は、「プログラムから開く」を選ぶという部分です。
これをキーボードから行うには主に2つの方法があります。
1つは矢印キーを使って上から、あるいは、下から順番にメニューの中で選択されている項目を動かしていって「プログラムから開く」を選択するという方法です。
もう1つはH
キーを使う方法です。
下の画像をよく見ていただくと、メニューの「プログラムから開く」という文字列の後に(H)
と書かれているのが分かるかと思います。
実は、これはショートカットキーを表していて、このショートカットキー(この場合はH
キー)を押すことで、ショートカットキーが付加されている項目(この場合は「プログラムから開く」)に一気に飛ぶことができます。
今回はH
キーを使うことにしましょう。
H
キーを押す操作はプログラム化すると前回見たようにH
という命令になります。
なので、プログラムの2行目にはH
と記述します。
プログラム1(作成中2)
- 1
Application
Application
キーを押したことにする。- 2
H
H
キーを押したことにする。
「ペイント」を選ぶ
次は、「ペイント」を選ぶという部分です。
下の画像を見ていただければ分かるかと思いますが、「ペイント」という項目にはショートカットキーは設定されていません。
なので、「ペイント」を選ぶには矢印キーを使って順番に選択されている項目を動かしていって最終的に「ペイント」を選択しなければなりません。
上の画像のように、私のパソコンでは「ペイント」という項目はメニューの上から6番目にありますので、↓
キーを5回連続で押せば選択することができます。
↓
キーを押す操作はプログラム化すると前回見たようにそのまま↓
という命令になりますので、私の場合プログラムの3行目から7行目には↓
を1行に1つずつ、合計5つ記述します。
皆さんのパソコンではもしかしたら私のパソコンとは違う位置に「ペイント」という項目が配置されているかもしれません。なので、皆さんが↓
命令を記述する際には皆さんのパソコンにおける「ペイント」の位置に合わせて適切な個数の命令を記述するようにしてください。
それから、↓
キーで「ペイント」を選択しただけでは、ただ単に選択したというだけであって「ペイント」は起動しません。起動するには更にEnter
キーを押す必要があります。
Enter
キーを押す操作はプログラム化すると前回見たようにEnter
という命令になりますので、プログラムの8行目にはEnter
と記述します。
プログラム1(作成中3)
-
・・・
- 2
H
H
キーを押したことにする。- 3
↓
↓
キーを押したことにする。- 4
↓
↓
キーを押したことにする。- 5
↓
↓
キーを押したことにする。- 6
↓
↓
キーを押したことにする。- 7
↓
↓
キーを押したことにする。- 8
Enter
Enter
キーを押したことにする。
Ctrlキーを押しながらWキーを押す
ここまでの操作で「ペイント」で画像が開けているはずですので、次は「ペイント」の「サイズ変更と傾斜」ウィンドウを表示するためにCtrl
キーを押しながらW
キーを押す操作を行います。
この操作をHiMacroExで実現するためには、
Ctrl
キーを押してそのままにしておく。W
キーを押す。Ctrl
キーを離す。
という3段階に分けて考えます。
このようにすれば、2つのキーを同時に押すということが実現できています。今後キーの同時押しが出てきた場合には同様に考えていきますので、このやり方は覚えておきましょう。
そうすると、それぞれの操作に対応するプログラムの命令は前回見たように、
LCtrl Down
W
LCtrl Up
となりますので、これをプログラムの9行目から11行目に記述します。
なお、今回は左Ctrl
キーを使いましたが、右Ctrl
キーを使っても構いません。ただし、押すキーと離すキーは同じキーでなければなりませんので注意してください。
プログラム1(作成中4)
-
・・・
- 8
Enter
Enter
キーを押したことにする。- 9
LCtrl Down
- 左
Ctrl
キーを押したままでいることにする。 - 10
W
W
キーを押したことにする。- 11
LCtrl Up
- 左
Ctrl
キーを離したことにする。
「水平方向」に50と入力する
「サイズ変更と傾斜」ウィンドウが表示されたら、次は「サイズ変更」の「水平方向」に50
と入力しなければなりません。
50
と入力するのは5
キーと0
キーを順番に押せば良いのですが、1つ注意しなければならないことがあります。
それは、「サイズ変更と傾斜」ウィンドウを表示した時点で50
と入力しようとしても入力できないということです。
下の画像は「サイズ変更と傾斜」ウィンドウを表示した直後のものですが、画像をよく見てみると「サイズ変更」の「単位」の「パーセント」の部分が点線で囲まれていて、現在はこの部分が操作できる状態になっていることが分かります。
この状態で幾ら50
と入力しても「水平方向」を操作できる状態にはなっていませんので全く意味がありません。
それでは、どうすれば「水平方向」を操作できる状態にすることができるのでしょうか?
このような場合にはTab
キーを使います。
Tab
キーを使うと操作可能な部分を移動することができます。
実際に上の画像の状態からTab
キーを1回押してみると、「水平方向」に入力されている文字列が選択状態となり、「水平方向」が操作できる状態になります。
この状態で5
キーと0
キーを順番に押せば「水平方向」に50
と入力することができます。
ですから、
Tab
キーを押す。5
キーを押す。0
キーを押す。
という3つの操作をプログラム化します。
それぞれの操作に対応するプログラムの命令は前回見たように、
Tab
5
0
となりますので、これをプログラムの12行目から14行目に記述します。
プログラム1(作成中5)
-
・・・
- 11
LCtrl Up
- 左
Ctrl
キーを離したことにする。 - 12
Tab
Tab
キーを押したことにする。- 13
5
5
キーを押したことにする。- 14
0
0
キーを押したことにする。
「垂直方向」に50と入力する
次は「サイズ変更」の「垂直方向」に50
と入力しなければなりませんが、実は、この手順は省略することができます。
実際にやってみると分かりますが、「サイズ変更」の「水平方向」に50
と入力すると「垂直方向」にも自動的に50
と入力されます。
なので、敢えてもう一度「垂直方向」に50
と入力する必要はありません。
ですから、この部分は何もプログラム化する必要はありません。
「OK」ボタンをクリックする
次は、「OK」ボタンをクリックするという部分です。
これをキーボードから行うにはEnter
キーを押すだけで事足ります。
Enter
キーを押す操作はプログラム化すると前回見たようにEnter
という命令になりますので、プログラムの15行目にはEnter
と記述します。
プログラム1(作成中6)
-
・・・
- 14
0
0
キーを押したことにする。- 15
Enter
Enter
キーを押したことにする。
Ctrlキーを押しながらSキーを押す
ここまでの操作で画像が半分の大きさにリサイズされているはずですので、次はCtrl
キーを押しながらS
キーを押して上書き保存を行います。
プログラムの命令は上のCtrl
キーを押しながらW
キーを押す操作の場合とほぼ同じで
LCtrl Down
S
LCtrl Up
となりますので、これをプログラムの16行目から18行目に記述します。
プログラム1(作成中7)
-
・・・
- 15
Enter
Enter
キーを押したことにする。- 16
LCtrl Down
- 左
Ctrl
キーを押したままでいることにする。 - 17
S
S
キーを押したことにする。- 18
LCtrl Up
- 左
Ctrl
キーを離したことにする。
「閉じる(×)」ボタンをクリックする
いよいよ最後の操作です。
最後は、「閉じる(×)」ボタンをクリックするという操作です。
「ペイント」のウィンドウの一番上のバーを右クリックすると出てくるメニューに書かれているように、これをキーボードから行うにはAlt
キーを押しながらF4
キーを押します。
この操作をHiMacroExで実現するためには、
Alt
キーを押してそのままにしておく。F4
キーを押す。Alt
キーを離す。
という3段階に分けて考えます。
そうすると、それぞれの操作に対応するプログラムの命令は前回見たように、
LAlt Down
F4
LAlt Up
となりますので、これをプログラムの19行目から21行目に記述します。
なお、今回は左Alt
キーを使いましたが、右Alt
キーを使っても構いません。
プログラム1(作成中8)
-
・・・
- 18
LCtrl Up
- 左
Ctrl
キーを離したことにする。 - 19
LAlt Down
- 左
Alt
キーを押したままでいることにする。 - 20
F4
F4
キーを押したことにする。- 21
LAlt Up
- 左
Alt
キーを離したことにする。
完成(?)
これで画像を半分の大きさにリサイズするプログラムが完成(?)しました。
プログラム1(完成(?))
- 1
Application
Application
キーを押したことにする。- 2
H
H
キーを押したことにする。- 3
↓
↓
キーを押したことにする。- 4
↓
↓
キーを押したことにする。- 5
↓
↓
キーを押したことにする。- 6
↓
↓
キーを押したことにする。- 7
↓
↓
キーを押したことにする。- 8
Enter
Enter
キーを押したことにする。- 9
LCtrl Down
- 左
Ctrl
キーを押したままでいることにする。 - 10
W
W
キーを押したことにする。- 11
LCtrl Up
- 左
Ctrl
キーを離したことにする。 - 12
Tab
Tab
キーを押したことにする。- 13
5
5
キーを押したことにする。- 14
0
0
キーを押したことにする。- 15
Enter
Enter
キーを押したことにする。- 16
LCtrl Down
- 左
Ctrl
キーを押したままでいることにする。 - 17
S
S
キーを押したことにする。- 18
LCtrl Up
- 左
Ctrl
キーを離したことにする。 - 19
LAlt Down
- 左
Alt
キーを押したままでいることにする。 - 20
F4
F4
キーを押したことにする。- 21
LAlt Up
- 左
Alt
キーを離したことにする。
いや、まだ実際に動くかどうか試していないので完成しているかどうかはまだ分からないのですが、一応画像を半分の大きさにリサイズするプログラムに必要な全てのキーボード操作をプログラム化することができました。
全部で21行のプログラムとなりました。
初心者の方にとっては十分本格的で実用的なプログラムとなったのではないでしょうか。
テスト
プログラムが一応出来上がりましたので、早速きちんと動くかどうかを試してみましょう。
プログラミングの世界では、作ったものが本当に期待通りに動くかどうか確認することをテストと言います。
また、テストしてみて期待通りに動かない点が見付かった場合、それをバグと言います。
プログラムは人間が作るものですので、どうしても間違いが混入してしまうことがあります。そのため、プログラムを作ったら必ず十分にテストをしてバグがないか調べるようにします。
十分なテストを怠ると、実際の仕事で使っている時にプログラムがおかしな動作をして大惨事が発生する、というようなことにもなりかねません。
テストというのはプログラムの作成以上に重要な工程なのです。
それでは、上で作成した画像を半分の大きさにリサイズするプログラムのテストを行ってみましょう。
現在HiMacroExの画面は下のようになっているかと思います。
プログラムを動かすにはまず大きさを半分にする画像ファイルを選択していなければなりませんので、「エクスプローラ」で適当な画像ファイルを選択します。
この状態で、HiMacroExの画面に戻り、「再生」ボタンをクリックします。
さて、結果はどうなるでしょうか?
どきどき。
〽今から ねぇ どうなっちゃう?
〽片思いは終わったけど
〽Doki Dokiが止まらない
〽ちゃんとできるのかな? あなたと恋を
(『Doki Dokiが止まらない/榊原ゆい』より)
あれ?
画像が半分の大きさにリサイズされてめでたしめでたしとなるかと思いきや、とても奇妙なことが起こってしまったような気がします。
まず、画像はリサイズされていません。
そして、「ペイント」の画面は開いたままです。
それに、何故かHiMacroExの「名前を付けて保存」ウィンドウが表示されています。
取り敢えず、HiMacroExの「名前を付けて保存」ウィンドウの「キャンセル」ボタンを押します。
と、HiMacroExが終了してしまいました。
――僕の書いたプログラムが消えちゃったよぉ~
そして、後には開いたままの「ペイント」だけが残りました。
よく見ると画像ファイルを選択するのに使った「エクスプローラ」も消えてるじゃん・・・。
一体何が起こったの?
バグの原因を考える
取り敢えず今分かっているのはプログラムの動きがおかしい、間違っている、つまり、どうやらプログラムにバグがあるらしいということです。
バグがあるのなら、バグの原因を究明して正しく動くようにプログラムを修正しなければなりません。
そう言えば・・・プログラム自体が消えてなくなってしまったのでした。
仕方ありませんので、HiMacroExを起動し直してもう一度上のプログラムをテキストエリアに入力しましょう。
今度は間違いがないように、丹念に注意深く入力します。
さて、何度も確認してみましたが命令自体に間違いはないはずです。
命令自体が間違っていないのなら命令を書く順番が間違っているのでしょうか?前々回書いたように、命令は実行してほしい順番で上から下に記述していかなければならないのでした。
もう一度確認してみましたが、命令の順番にも間違いはないように思えます。
それでは、何が間違えているというのか。
命令自体も命令の順番も正しいのだとしたら・・・。
・・・ちょっと待ってください。先程プログラムを動かしてみた際には色々な珍現象が発生したのでした。
特に、何故かHiMacroExの「名前を付けて保存」ウィンドウが表示されていましたが、「名前を付けて保存」ウィンドウというのは保存の操作を行わなければ表示されないもののはずです。
保存の操作というのは、具体的には、「ファイル」メニューの「名前を付けて保存」をクリックする操作とか、Ctrl
キーを押しながらS
キーを押す操作とかです。
あっ。
そう言えば、上で作成したプログラムにはCtrl
キーを押しながらS
キーを押す操作がプログラム化されて記述されていたのでした。
もしかして、上のプログラムを動かした際にはこの操作が「ペイント」ではなく、HiMacroExで行われてしまったのではないでしょうか。
そして、HiMacroExの「名前を付けて保存」ウィンドウの「キャンセル」ボタンを押したらHiMacroEx自体が終了してしまったのは、プログラムでCtrl
キーを押しながらS
キーを押す命令の後に記述したAlt
キーを押しながらF4
キーを押す命令の結果なのだとしたら辻褄が合うような気がします。
この考えで行くと、「ペイント」の画面が開いたままというのは、逆に、「ペイント」の画面を開くことはできているということではあるので、少なくとも「ペイント」を開くところまではプログラムは上手く動いていたということでもあります。
それ以降が怪しいということです。
更に、「ペイント」で開かれていた画像はリサイズされないままとなっていました。
ということは、「ペイント」の「サイズ変更と傾斜」ウィンドウを表示するためのCtrl
キーを押しながらW
キーを押すという部分以降はプログラムが上手く動いていなかった可能性があります。
そして、「ペイント」では「サイズ変更と傾斜」ウィンドウも開かれていなかったということから考えると、Ctrl
キーを押しながらW
キーを押すという部分が上手く動作していないように思えます。
そして最後に、画像ファイルを選択した「エクスプローラ」の画面が消えていたのはどういうことでしょうか。
「エクスプローラ」の画面が何もしていないのに勝手に消えるということはないでしょうから、誰かが画面を閉じたということです。十中八九上のプログラムが誤って閉じたということです。
実は、実際に試してみれば分かりますが、「エクスプローラ」の画面でCtrl
キーを押しながらW
キーを押してみると「エクスプローラ」の画面は閉じられます。
私も初めて知りましたが、「エクスプローラ」にはウィンドウを閉じるためのCtrl+W
というショートカットキーが備わっていたのです。
!!
これで全てが繋がりました。
つまり、こういうことです。
上のプログラムは「ペイント」を開くところまで、つまり、8行目のEnter
までは正しく動いていました。
しかしながら、上のプログラムは「ペイント」が開いたにも拘らず何故か「エクスプローラ」に対して操作をし続け、Ctrl
キーを押しながらW
キーを押す操作で当の「エクスプローラ」を閉じてしまいます。
そして、その後は「エクスプローラ」が閉じてしまったので、HiMacroExの画面に対して操作を行うようになります。
Tab
キーや5
キーや0
キーやEnter
キーを押す操作はHiMacroExに無視されましたが、Ctrl
キーを押しながらS
キーを押す操作にはHiMacroExは反応し、「名前を付けて保存」ウィンドウが表示されます。
こういうことだったのではないでしょうか。
もしこの仮説が正しいのだとしたら、何故「ペイント」が開いたにも拘らず「ペイント」に対して操作が行われなかったかということですが、これに関しては1つの可能性があります。
というのは、「エクスプローラ」でファイルを開く操作をしてからソフトが起動して実際にファイルが開かれるまでには若干のタイムラグがあるということです。
ファイルは一瞬で開かれる訳ではありません。
特に、サイズが大きいファイルなどは開くのに数秒以上掛かることもあります(パソコンの性能がまだ貧弱だった昔はよくありました)。
そのため、「ペイント」が開くまでにプログラムの次以降の操作が実行されてしまうと、「ペイント」に対しては操作は行われないということになります。何せ、「ペイント」はまだ開いていないのですから。
謎が解けたような気がします。
つまり、上のプログラムがまずかったのは、「エクスプローラ」で画像ファイルを開く操作を行ってから実際に「ペイント」で画像が開かれるまでにタイムラグがあるのを考慮していなかったということです。
しかし、だとしても、では、どうすれば良いのでしょうか?
待機命令
実は、正にこのような時のために、HiMacroExには1つの命令が用意されています。
それは、ある特定の時間だけ命令を実行するのを止めて待機しろという待機命令です。
待機命令をプログラムに記述するにはプログラムに待機させる時間を数値(整数)として記述します。この時間はミリ秒単位で表さなければなりません(単位は付けません。単位は付けないけれども、記述した数値はミリ秒単位であるものと見做されるということです)。
ミリ秒というのはもしかしたらプログラミングが初めての方には耳慣れない言葉かもしれませんが、要はミリメートルなんかの場合と同じで、ミリとは1000分の1ということです。つまり、1ミリ秒は1000分の1秒で1秒は1000ミリ秒です。
ただし、待機命令には1つ制限があって10
以上の数値でなければなりません。これは、0
から9
はキーボードの数字キーを押す命令と被ってしまうからです。
なので、10
ミリ秒未満だけ待機する命令というのは存在しません。とは言え、そんなに短い時間だけプログラムを待機させる必要があることはあまりないので、特に問題はないかと思います。
命令
10
10
ミリ秒待機する。11
11
ミリ秒待機する。
・・・
この待機命令を使えば、「エクスプローラ」で画像ファイルを開く操作を行ってから実際に「ペイント」で画像が開かれるまでのある程度の時間プログラムを待機させるということができそうです。
バグ修正
それでは、早速バグ修正を行いましょう。
やらなければならないのは上のプログラムの8行目でEnter
キーを押した後に暫く待機するということなので、上のプログラムの8行目と9行目の間に待機命令を入れます。
どれくらいの時間待機させるかは難しいところではありますが、この場合は1
秒間=1000
ミリ秒間も待機させれば十分でしょう。
ということで、8行目と9行目の間に1000
という待機命令を入れます。
プログラム1(完成)
- 1
Application
Application
キーを押したことにする。- 2
H
H
キーを押したことにする。- 3
↓
↓
キーを押したことにする。- 4
↓
↓
キーを押したことにする。- 5
↓
↓
キーを押したことにする。- 6
↓
↓
キーを押したことにする。- 7
↓
↓
キーを押したことにする。- 8
Enter
Enter
キーを押したことにする。- 9
1000
1000
ミリ秒待機する。- 10
LCtrl Down
- 左
Ctrl
キーを押したままでいることにする。 - 11
W
W
キーを押したことにする。- 12
LCtrl Up
- 左
Ctrl
キーを離したことにする。 - 13
Tab
Tab
キーを押したことにする。- 14
5
5
キーを押したことにする。- 15
0
0
キーを押したことにする。- 16
Enter
Enter
キーを押したことにする。- 17
LCtrl Down
- 左
Ctrl
キーを押したままでいることにする。 - 18
S
S
キーを押したことにする。- 19
LCtrl Up
- 左
Ctrl
キーを離したことにする。 - 20
LAlt Down
- 左
Alt
キーを押したままでいることにする。 - 21
F4
F4
キーを押したことにする。- 22
LAlt Up
- 左
Alt
キーを離したことにする。
これで、本当に正しいプログラムが出来上がったことと思います。
もう一度テストを行ってみましょう。
現在HiMacroExの画面は下のようになっているかと思います。
「エクスプローラ」で適当な画像ファイルを選択します。
ちなみに、この画像の大きさは750x1334
となっています。
この状態で、HiMacroExの画面に戻り、「再生」ボタンをクリックします。
どきどき。
〽今から ねぇ どうなっちゃう?
〽片思いは終わったけど
〽Doki Dokiが止まらない
〽ちゃんとできるのかな? あなたと恋を
(『Doki Dokiが止まらない/榊原ゆい』より)
出来ました!多分!
プログラムを動かすと、「ペイント」が起動し、すぐに閉じられました。
そして、肝心の画像はというと、きちっと元の半分の大きさになっています。
元が750x1334
だったので375x667
は丁度半分です。
これで画像を半分の大きさにリサイズするプログラムが本当に完成しました。
結構長い道のりでしたが、ようやく1つ、ある程度実用的なプログラムを作成することができました。
順次
最後に1つ、プログラミングにおける概念を説明してこの記事を終わりにしたいと思います。
前回の記事で、HiMacroExのプログラムの命令は上から順番に実行されていくということを書きました。
そして、上のプログラムも正に一番上の行から一番下の行に向けて1行ずつ順番に命令が実行されていました。
実は、プログラムにおける命令の実行順というのはHiMacroExのプログラムに限らず、基本的には大抵のプログラミング言語で上から下に向けて順番に実行するようになっています。
このように、上から下に向けて順番に命令が実行されていくことを順次と言います。
要は、順次という言葉があるということです。そして、順次という言葉が用意されているのは順次というものがプログラミングにおいて重要概念だからです。
取り敢えず、この命令の実行順はしっかり頭に入れておきましょう。まあ、順番としては非常に自然なものですので、意識して頭に入れるまでもないかもしれませんが。
実は、プログラミングにおいては順次の他にも命令の実行のされ方を表す言葉が2つあるのですが、それらについては次回以降の記事で説明したいと思います。
つづく
今回のプログラム作成はどうだったでしょうか。
命令を実行させたい順番で並べていくだけでもある程度実用的なプログラムが作れることが分かりました。
しかし、HiMacroExのプログラムでは他にももっと便利な命令が用意されており、より複雑で本格的なプログラムを作成することができるようになっています。
次回以降はそのような命令を1つずつ取り上げていきたいと思います。
↓ ↓ ↓
